徒然なるバカはその日暮らし

雑に色々、長々と淡々と。

言わない方が良いこと。

はじめに

天海春香学会」より発刊された学会誌(同人誌)が本日届き、読み終えました。
本誌には私自身も寄稿をし、なおかつこの記事も寄稿文に触れつつ思い出話をしていく内容になります。
当然ながら、寄稿文『Your Answer』の内容にも触れますので、未読の方はお気を付けください。

筆者が作品外で作品について語ることが、ときに無粋であることは重々承知した上で、読み終わり昂った感情を精算するために当記事を書き進めます。
学会誌に携わられた皆様の熱に当てられ流動を始めた、積年の鬱屈した想いを噴出させていきます。
よしなに。


押井版ルパン三世

と、いうものをご存知でしょうか。
ご存知でなければ、是非↓のリンクからWikipediaを見ていただきたい。
押井版ルパン三世 - Wikipedia
読んでもらえば分かる通り、映画監督であらせられる押井守氏を監督に据えて製作されていたルパン三世の劇場作品でございます。頓挫しましたが。

押井守氏の手掛けられた作品には、虚構と現実とをテーマに用いられるものが多く、そういった点に難解さを覚えて敬遠するオーディエンスも少なくありません。
この押井版ルパン三世も例に漏れず、そういった作品になる予定だったそうな。
その結末は、Wikipediaの当該記事にもある通り、「ルパンは存在しなかった」というものになっていたそうな。
是非とも見てみたかった。
このテーマに興味が湧いた方は「ルパン三世 GREEN VS RED」を見るといい。


シャーロキアン

と、自称するのも烏滸がましいけれども、そうであるかないかで問われれば、私はシャーロキアン寄りの人間であります。
「何それ」? そういう方もいらっしゃいますよね。
シャーロキアン - Wikipedia
まあ、平たく言ってしまえばシャーロック・ホームズファンなのですが、ファンの中でも「シャーロック・ホームズを実在の人物として研究(ごっこ)をしている」人たちとでも言いましょうか。
研究と呼べるほどのことを、私個人でやっていたりはしないのですけども、そういった方々の研究によって肉付けされたシャーロック・ホームズの実在性(?)には強く惹かれてきました。



本題(???)

※ここから述べていく「実在性」というものが一般語彙における「実在性」なのか、カント的「客観的実在性」なのか分からなくなってしまったので、ご了承ください。
意味合い的には、「そのキャラクターを他と区別し、現実に実体たらしめるような、より強く曖昧な自己同一性」みたいなものを指していると考えていただきたい。わからん。

上まででつらつらと書き連ねたことが、「天海春香学会と何の関係があるのか」と思われたでしょうが、要は「私はこういうものを見て生きてきました」という回りくどい自己紹介です。
こういうものを見て聞いた上で、「現実に実在しない人格の実在性」、それを無意識下において妄想しながら生きていた部類の人間であるという自己紹介です。
ちょっとでも好きなキャラクターに出会うとすぐに考えてしまうわけです。彼ら、彼女らは何者なのだろうか、と。

それは、天海春香に対しても例外ではありませんでした。


思い出話

天海春香というキャラクターの実在性について、ちょっと考える期間がありました。
あっちこっち迷走もするんですけども、期間の中で考える方向性を与えてくれるきっかけがあったりしました。それがBUMP OF CHICKENさんの楽曲『リボン』のリリースです。
(↓こちら、公式のMVです↓)
https://www.youtube.com/watch?v=6m3A1MP_gbU
おい、今笑っただろ?
何でか自分でも分からないんですけど、これを聴いたときに真っ先に浮かんだのが「天海春香」なんです。
タイトルが影響しているのは当然なんですけどね、歌詞もなんというか天海春香含め765プロのアイドル達とP達との道程を思い起こされたんです。
そして同時に「天海春香が一切登場しないPV」を思い浮かべたんです。
765プロのアイドルや876プロのアイドル、魔王エンジェルやレッドショルダーなんか出してもいいんじゃないか。
とにかく、天海春香に縁がある人を出して出して出しまくって、画面にはいなくても確かにそこに「天海春香の実在性」を強く感じさせる内容のPV。
そんなものが作りたい、とぼんやり思っていたんです。

とはいえ、当時の私は創作に関わるものなぞ何一つやっていなくて、1から学ぶ気力が起きなかったもので、結局絵に描いた餅で終わりました。
いや、終わる予定でした。押井版ルパン三世
既に学会誌を読まれた方には察していただけることでしょうが、この妄想PV案が私の寄稿文の着想元(というか、そのもの)であります。


『Your Answer』1

天海春香という存在の輪郭を描き出したい。それが、着想元から変わらないコンセプトです。
無粋な言い方をしてしまえば、天海春香に縁のある人物の「フリ」をしているだけなので、結局直接説明しているようなものですけど。

誰が、何について語っているのか。判然としない状況から『Your Answer』は始まります。
それらは、読み進めていくうちに明らかになっていくわけですが、読んでいる間に「わかる~」、「それな」、「ありそう」という肯定的な反応や、「そうか?」、「いや、それは違う」といった疑問・否定的反応を持つことでしょう。
それが、まさしくあなたの天海春香が何者なのか」という答え、あるいは答えを出す足掛かりになるのだと思うのです。


非実在人格の実在性

架空のキャラクターは架空ですから、現実に肉体として存在はしておりません。
しかし、その人格・人間性となれば話は別だと思っております。

肉体は、言うまでもなく物理的実体を伴わなければならないため、架空のキャラクターらがそれらを以て存在することはほとんど不可能であります。
しかしながら、人格・人間性に関しては元より物理的実体を持たないものであるため、「それがそのキャラクターの人格・人間性である」と第三者に認識さえされれば実在します。強い実在性を確保すれば、そのキャラクターの人格は実在のものとなる、ということです。暴論では。

公式、版元から提示される断片的情報から、それを受信したオーディエンスたちは、情報を統合しそのキャラクターらの人格を形成します。そして、形成された人格を元に、所謂ヲタクたちは様々な空想を広げていく。
これが一個人の妄想の中だけで留まればそこまでですが、これを他者と共有し、否定も肯定も疑問もないまぜにして最大公約数を求めていった先に、かなり純度の高い精錬された実在性を獲得しうるのではないでしょうか。
シャーロキアンたちはこれをやっていて、かつ今回の天海春香学会についても、こういった側面を初期より勝手に見出したりなどしていました。


『Your Answer』2

上で述べた、読者の中に生じる様々な「反応」。それも一つの起点となって、万者万様の天海春香像を内に創り出していくことでしょう。
これ以上回りくどいのもどうかと思うので、直接言ってしまうと
私は天海春香に「よりリアリティのある人格」を与えたかったのです。
烏滸がましいですね。

昨今の天海春香像について、私も一春香Pとして思うところがあります。
だから、彼女の「人間」性を強く浮きぼらせ、認識させたかった。それだけなのです。
彼女本人の言葉ではなく、彼女の周りの人間の言動から間接的に輪郭を描くことで、強く、リアリティのある実在性・人間性を獲得させ得るのではないか。
それが、『Your Answer』に込めた野望です。

「光」を認識するには「闇」が不可欠です。
「個」を認識するには「全」が必要です。
「自」を認識するには「他」がなくてはなりません。

なので、全から見た「個」である天海春香を描くことを『リボン』から夢見て、当初の想定とは異なるものの、完成と相成ったわけです。



終わりに

いつも通り、長くなりました。 そして、感情のまま書き連ねたので意味が分からなくなりました。それもいつも通り。
この長さに、学会誌を読んでかき乱された昂った感情が現れているのではないでしょうか。

天海春香学会誌』は私の想像していた以上に、精錬された混沌に溢れていました。
整然とも煩雑とも言えるその様相に、天海春香の歩んできた歴史と、彼女の獲得した人間性の奥深さを思わざるを得ません。
購入済みの方も、まだ検討中の方も、是非ご一読いただきたい作品となっております。
気になったなら是非、ポチっと↓
harukagakkai.booth.pm